Richard Long | リチャード ロング
リチャード・ロングは1945年、イギリスのブリストルに生まれる。
1968年、ロンドンのセント・マーティンズ美術学校を卒業。在学中の1967年に発表した「歩行による線」で注目を集め、ベネチア・ビエンナーレのイギリス館代表に選出される。1989年にはターナー賞を受賞する。日本にも数回来て歩き作品を発表する。
作品は自然の中を歩き、軌跡を作品としたり、草を長方形、円に刈り取り、カメラに納め作品とした。草は成長し誰の眼に触れる事も無く作品は消滅した。またそこに存在する石や木切れを円形、長方形に並べ、写真を撮り作品とした。石や木切れは長い時間の中で風化し草に埋もれ作品は消滅していった。
又それとは別に美術館、画廊に自然の中から採取してきた石や木切れを円、長方形或は線として並べ作品として発表した。
自然に僅かに手を加え作品とする手法は自然と共に生きる東洋の思想とも相通じる所があるようにも思える。
1974年 Two Walks Day Night 二つの歩行 昼と夜
自然を歩く事もロングの作品の一部であり、雄大な自然、草木の揺れ、風の音、川のせせらぎの音、鳥、動物の鳴き声、汗、足の疲れも作品の一部である。都会の喧噪とはかけ離れた世界、そこでの瞑想、すべてをマップは想像させる。
1979年 Stone Circle 石の円 径 270cm
日本の群馬県で採られた多胡石を使っている。砂岩で木目模様が付いている美しい石である。ロングの美的感覚を刺激したに違いない。石は重いのでずっしりした感覚がある。
1983年 Tokyo stone circle 石(伊豆)外則 300cm, 内則 140cm
日本で何回か展覧会をしている。その時の作品である。火山口を思わせる、荒々しい花崗岩で作られた作品である。ロングの力強さが良く現れている。日本の庭園を思わせると言った来館者もいた。
1986年 Red fall line 赤い瀑布線 1.5 x 10m
ニューヨークの石。泥岩。ニューヨークで購入。ロングはこの石が好きらしく何回もこの石を使って作品を作っている。滝から水が落ちるようにも、川底を流れる水のようにも見える。雄大なスケール。荒々しい太古の時代から甦った石。ワイン色を帯びた褐色の石は地底を思い起こさせる。渡部氏はロングの作品はサークルにしても線の作品にしてもミニマル形式の無機質のものが多いが、この作品は色々なものを思い起こさせロングの作品にしては珍しいと言う。
Title: River avon driftwood 1976年
Material: 25 pieces of wood
dimension: diameter 324cm
コレクター仲間より購入。流木もいい。流れてきたものを作品に。ラヂカルだ。初期の作品。山野で草を刈り彫刻に仕立て上げ放置。時と共に草が伸びてきて作品は消失。いいね〜。